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こっそりクリスマス企画 3

3話目です。
メリークリスマス! のはずなのになぜか喧嘩中のふたり。



 明日の夜、いっぱいキスしようね。 
 そう思って智樹の背中を見送ったのに――。

 暖かくしたあたしの部屋の中で、小さなファイバーツリーが白い枝の先を赤や黄色に光らせてるっていうのに。

 智樹は美咲さんがくれたサンタ服を睨みつけて黙っている。

「ねえ……なに拗ねてんのよ」
「拗ねてるんじゃない。ムカついてるだけ」
「何にムカついてるの。あたしなんかした?」
「それ」
 
 智樹が顔を上げて視線で赤いサンタ服を示す。

「あの服の何がそんなに気に入らないのよ」
「ムカツク。兄貴のやつ、いつまでもエリカを自分のものみたいに」
「だからなんでそんなふうに思うのよ」
 顔を上げた智樹の視線があたしを鋭く貫いた。 
「オレへのプレゼントって、エリカのこと指してんだろ。なんか自分のものだったけどおまえにやるって言われてるみたいで」
「美咲さんはそんなんつもりじゃないって」
「エリカにはオレの気持ちなんてわかんないよ」

 わかんないわよ、そんなものっ!
 とはさすがに口に出して言わなかったけど、智樹はあたしの顔を見て察したらしい。なんだかますますややこしくなりそうなことを言い出した。

「エリカはさ、オレが正樹の弟でなくても好きなった?」
「ちょっと今度は何? 何でそんなこというのよ。最初はあんたが正樹先輩の弟だなんて知らなかったじゃない」
「だって声が似てるって。手もそっくりだとか言ってたじゃないか」
「そりゃ似てたわよ。兄弟なんだからひとつやふたつ似たとこがあったっておかしくないでしょ」
「だから、オレは兄貴のかわりなのかなって」
「だからなんでそうなるの! 正樹先輩とあんたはぜんぜん別の人間でしょ!」

 智樹が言ってることはあながちはずれでもないから、あたしはよけいに強く否定してしまう。
 確かに付き合う前、智樹から迫られてた頃は彼と正樹先輩を重ねて見てしまうことがあって、このまま流されて付き合ったりしたらきっと智樹を傷つけてしまうとためらっていた。
 けど、今はそんなことこれっぽっちも思ってないんだからねっ。

「ねえ、どうして自分が身代わりだなんて思うの? あたし、そんなふうに智樹を扱った覚えないんだけど」
「今でも兄貴とすごく仲いいじゃないか」
「何度も言ってるけど、美咲さんはあたしにとっては女友達だから。何でも話せる親友なの。あんたにだっているでしょ。敦志クンとか仁クンとか。それと同じ」

 智樹はわざとらしく大きなため息をついた。

 何でこんなことになってしまったのか分からない。
 せっかくのクリスマスイブなのに。二人きりで会うのは久しぶりなのに。
 何が悲しくてイブの夜に恋人と喧嘩しなくちゃなんないのよ。智樹のバカ!
 
 智樹はベッドを背に床に座って片膝を抱えてうつむいている。
 子供かっ、あんたは!

 ……子供、だよね。未成年だし。まだ高校生で十八になったばかりで、あたしより二つも下で。

 しょうがないなあ。

 智樹があたしには理解できない敗北感を抱えて傷ついているのは何となくわかった。
 わかったけど――。
 
 こんなのやだよ。
 クリスマスイブなんだよ、ねえ、智樹。
 明日からまたあんたはひたすら勉強の日々でしょ?

 時計を見たらもう十一時。日付が変わる前に智樹を家に帰さなくちゃと思ってたけど、こんな気持ちのままで帰せない。
 帰したくない。

 あたしはクローゼットを開けて、きのう買ってきた下着を取り出しバスルームに駆け込んだ。



4話目からは全年齢のブログでは公開しづらい内容になりますので、サイトアップまで少しだけお待ちくださいね。

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